052 ぼくのメジャースプーン/辻村深月

ぼくのメジャースプーン (講談社ノベルス)
ぼくのメジャースプーン


 辻村深月待望の4作目。今日の朝4時まで読んでた。
以下、簡単なあらすじを。




主人公である小学4年生の「ぼく」は不思議な力を持っている。
「Aという条件をクリアできなければ、Bという結果が起きる」
といった言葉を発することで、言われた相手はその条件のとおりに動かなければならない。
例えば、「今見たことを忘れろ。さもないと死ぬ」など。
作中では「条件ゲーム提示能力」と名づけられている。


ある日、「ぼく」の通う小学校で、飼っているウサギが
近くに住む大学生に惨殺されるという事件が起こる。
犯人に遭遇し、事件現場を見てしまったふみちゃんという少女は、
ショックを受けしゃべれなくなってしまう。
「ぼく」は自分の能力を使って犯人に罰を与えようと考える。
「ぼく」は同じ能力を持つ「先生」の元へ通い、犯人にふさわしい「罰」を考えていく。
最終的に「ぼく」が選んだ罰とは―――。




 デビュー作にあったようなミステリ風味はほとんど影を潜めて、
文学性というか物語性というか、そういったものに力を入れてるような気がする。
テーマは「悪意」。そして「罪と罰」。
全体の6〜7割が「ぼく」と「先生」の議論なので、人によっては死ぬほど退屈に思えるかもしれない。
俺はこういう限定されたテーマというか、焦点が絞られた話が割りに好きなので一気に読めた。面白かった。
最終的に「ぼく」が選んだ答えや、犯人の顛末には賛否両論分かれるかなぁという印象。
テーマがテーマなので、読み終わってスッキリ!というようなミステリ的爽快感はあまりないけどなかなか良さげだった。
あと、作者の2作目である「子どもたちは夜と遊ぶ」と微妙にリンクしてるので、ファンとしてはニヤリとさせられる。


自分の周りには、積極的に小説を読む人が少ないので、
もし読書に多少なりとも興味がある人には、この辻村深月の作品を読んでほしいなーと思う。
何ていうか、思わず人に薦めたくなる作品ばかりなのである。興味ある方は是非。