041 空中庭園/角田光代

空中庭園 (文春文庫)
空中庭園


 最近映画化されたやつですね。
映画版の公式サイトを何とはなしに見てたら、雰囲気が良さげだったので原作を読んでみることにしました。
表面上は隠し事をしない仲の良い家族だけど、実際は―――というストーリー。
俺の読解力が足りないせいかもしれないが、そこまで絶望的なお話でもないかなぁと思いました。
まぁそれぞれの認識のズレみたいなのは、読んでてちょっとゾッとするところがありました。
映画もいずれ見るかな。

040 燃えよ剣(下巻)/司馬遼太郎

燃えよ剣(下) (新潮文庫)
燃えよ剣 (下巻)


 読了。とても良かった。
作中で土方は京都を落ち、北へ北へと転戦を重ねるにいたって
「自分の人生はようやく幕を開けた」と言うが、
どんどん死に向かっている彼の姿は、読者からすると切ないものがある。
この作品での土方歳三は、義を重んじるとか士道がどうというよりは
ただただ己に忠実に生きている。武士というより一人の男として自分に恥じない生き方をしたというか。とにかくかっこいい。

039 燃えよ剣(上巻)/司馬遼太郎

燃えよ剣(上) (新潮文庫)
燃えよ剣 (上巻)


 そんなわけで燃えよ剣である。司馬遼太郎である。
正月に大河ドラマスペシャルを見たこともあって、ずいぶん昔に買ったままにしてたこの本を読む気になったのだ。
やはりドラマとは描かれ方が違う。
ドラマにおいて近藤勇は、主人公ということもあってひと言でいえば実直な人柄である。
幕府のためなら、どんな事も死すらも厭わないという武士よりも武士らしい人物として描かれている。
燃えよ剣でもやってることは変わらないのだが、こちらは土方が主人公ということもあってか、
近藤は若干愚鈍に描かれている。要所要所、締めるところは締めているのだが、普段は結構色んな人の意見に流されがちである。
ついでに女遊びも激しいと記述されている。
土方はただ新撰組を最強の喧嘩集団にしたいと考え、局内に思想を持ち込むことは新撰組にとってプラスにならないと考えている。
同じ時代の同じ人物達を描いても、書き手によってずいぶん変わるのである。どっちも面白いんだけど。
歴史文学なんて堅そうで、俺には無理かなーと思っていたが読んでみるとなかなか楽しい。
このまま下巻も読んでしまおう。

038 使いみちのない風景/村上春樹・稲越功一

使いみちのない風景 (中公文庫)
使いみちのない風景


 図書館では勉強の合間にこれ読んでました。
写真とのコラボということもあって文章は短め。
20分もあれば読み終えることができます。
村上朝日堂シリーズとはまた違った村上春樹の一面を見ることができます。
とても静かで穏やかな一冊。図書館で読むのに合ってます。

037 夜の蝉/北村薫

夜の蝉 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)
夜の蝉


 「家族」に関するお話です。
円紫さんと私シリーズは、本格ミステリでありながら主人公である『私』の成長譚でもあります。
ゆえに特にミステリ読まない人にもこのシリーズは人気があるようですね。
この「夜の蝉」とあと、「空飛ぶ馬」と「秋の花」は間違いなく名著です。
残りの2作はあんまり印象に残ってないのですけど。

036 空飛ぶ馬/北村薫

空飛ぶ馬 (創元推理文庫―現代日本推理小説叢書)
空飛ぶ馬
 クリスマスに読もうという悲しい計画が回避されたので、最近読了。
文句なしに良書である。日記を見返して見たところ、実に1年ぶりに北村薫の著作を読んだのだが、
こんなにも美しい文体だったかと今更ながらびっくりである。
この「空飛ぶ馬」以後、似たような作風のいわゆる「人の死なないミステリ」というのが流行ったが、やはり本家が一番である。
人の死なないミステリといっても、ただほのぼのしているだけでなく
「砂糖合戦」や「赤頭巾」に見られるように、そこには明確な「悪意」がある。
それも本家の魅力であると思う。


シリーズ作品を1つ読むと残りも読みたくなるものである。
てなわけで、また「夜の蝉」や「秋の花」を読み返そうっと。
いい加減「朝霧」も買うかなぁ。


追記:
北村薫のキーワード見たらこんな一文が。

余談だが、教師時代の教え子にはラーメンズ片桐仁がいる。

よく分からないところで人は繋がっているもんである。
いや、俺はラーメンズよく知らないけども。

035 占い師はお昼寝中/倉知淳

占い師はお昼寝中 (創元推理文庫)
占い師はお昼寝中


 キャラクター的には猫丸先輩より辰寅叔父のほうが好き。
さて、次は何を読もう。
クリスマスに「空飛ぶ馬」を読もうという寂しい計画は結局果たされなかったしなぁ。