058 神の子どもたちはみな踊る/村上春樹
阪神大震災に関する短編集(連作?)。
作品ごとの感想でも。
・UFOが釧路に下りる
「小村さんは、遠くに来たかったんですか?」
「多分」
リアルでこんな受け答えしたら怒られるんだろうなぁと思った。
でもまだ始まったばかりなのよっ!
・アイロンのある風景
焚き火の話。
結局焚き火は何のメタファーなのだろう。
・神の子どもたちはみな踊る
宗教家の母を持つ男の話。
神の子どもたちはみな踊るのだ。
・タイランド
休暇をタイで過ごす女性の話。
生きることと死ぬこととは、ある意味で等価なのです。
・かえるくん、東京を救う
片桐がアパートの部屋に戻ると、巨大な蛙が待っていた。
この冒頭文は、『雪国』に匹敵するくらいインパクトがあると思う。
一体どんな物語なんだろうと、好奇心を激しく刺激される強烈な一文である。
・蜂蜜パイ
この中で1番好きなお話。
作者は常々、「『村上春樹』的な文章は書きたくない」と言っているが、
それが顕著に現れている作品である。
起承転結がはっきりしていて、メタファーも比較的わかりやすい。
なんかに似てるなぁと思ったのだが、
そうだ、乙一の『しあわせは子猫のかたち』に終わり方が似ているのだ。
とにかく好き。