032 星降り山荘の殺人/倉知淳

星降り山荘の殺人 (講談社文庫)
星降り山荘の殺人








 だまされたッ! 






っと思わずうなってしまった。快作である。
買ったまま放置してたこの本が、
http://mystery.parfait.ne.jp/wiki/pukiwiki.phpでえらく高評価だったので読んでみることにしたのですよ。


いやー、面白い。心憎いまでに本格である。
節目節目に作者からの言葉が挿入されるのだが、
「ここには重要な伏線が張られている」や、
「この推理に間違いはない」といったような、
作者にとっては不利にしかならないであろうことが惜しみなく書かれている。
こういうのだけで、ミステリファンはわくわくしてしまうのだ。
そして無論、作者の言葉に嘘はない。完全なまでにフェアな作品である。


にも関わらず、俺はしっかり騙されましたが。
しかし、こういう綺麗な騙され方はむしろ心地いい。
良質なトリックに見事にひっかかると、ふわりと投げられるような感じがする。
この「ふわり感」がたまらないから、ミステリはやめられないのである。
倉知淳、恐るべし。